所長ブログ
労働基準監督署調査と是正勧告について
1.調査の種類
最近、立て続けに顧問先に労働基準監督署の臨検調査が入っています。調査理由は3種類あります。
一つは、当該監督署の年次方針に基づいて重点業種、重点職種をランダムに調査対象とする場合です。飲食業の管理監督者の時間外の適用除外が問題とされれば、当然に飲食業に重点調査が実施されます。
次に、前回調査の実施後2?3年を置いて再び調査を実施し、前回の改善状況が維持されているかを確認することがあります。調査・勧告時点では是正勧告に従った改善が実施されますが、時間の経過と共に元に戻ってしまうようなことが往々にしてあります。この再調査で、前回の指摘事項が改善されていないと、かなり厳しい指導が実施され、長期間の報告が義務付けられます。
最後に、所属社員又は退職した社員からの申告による調査の実施です。この場合は、監督官は申告者から実体を聴視した後に調査に着手しますから、ポイントを付いた帳票関係の提示が求められます。また、違法性があり、未払い賃金が確認される場合は、各日に遡及支払いが勧告されます。
2.未払い賃金の遡及期間
賃金債権の時効消滅は2年間(退職金は5年間)となっていますから、最大2年間の不足分の遡及支払いが勧告されることになります。但し、一般的には3ヶ月、6ヶ月の遡及支払いを勧告するケースが大半を占めています。この遡及期間については、担当した労働基準監督官の裁量に委ねられています。悪質性の程度、印象等によって決定しているようです。
未払い賃金の主要なケースは、次の場合です。
?時間外・深夜労働・休日労働の割増賃金未払い
?時間外等の割増賃金は支払っているが、一定時間数で打ち切っている場合
?時間単価計算が過少な場合
3.調査時のチェックポイント
?就業規則の届出がなされているか。(常時10人以上雇用の事業場が該当)
?法改正に準拠して、就業規則が改正されているか。
?就業規則に記載されている事項で必要な協定書が締結され、届けられているか。
36協定、裁量労働制、フレックスタイム制、賃金控除、等
?36協定の限度時間、特別条項項目が遵守されているか。
?労働者の労働時間が正しく把握されているか。
?割増賃金の時間単価計算方法は適法か。
? ?の時間に対して?を乗じて割増賃金を正しく支給しているか。
?管理監督者に対して、深夜割増を正しく支給しているか。
?管理監督者は、労働法上の管理監督者に該当権限、処遇となっているか。
?衛生推進者・衛生管理者・産業医・衛生委員会等の安全管理体制が法を遵守しているか。
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